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館長のふゆきです。
今日の夢中は、「磐城 壽 夏吟」純米吟醸!2つの土地を結ぶ絆…爽やかに喉を潤す夏酒です。
さまざまな日本酒を楽しむ「夢中図書館 日本酒館」。飲み口レポートや銘柄情報など幅広く日本酒の魅力を伝えます。

■磐城 壽
今日の日本酒は、「復興の酒蔵」と知られる鈴木酒造店から…。
創業は江戸時代の天保期。元々は相馬藩の海沿い(現在の福島県浪江町)に蔵を構えていた老舗酒蔵です。
しかし、2011年の東日本大震災によって全建屋が流失。さらに避難指示によって浪江を離れざるを得ませんでした。
それでも鈴木酒造店は、酒造りを諦めませんでした。避難の末にたどり着いたのが、山形県の長井市です。
縁あって廃業予定だった地元の酒蔵を受け継ぎ、「株式会社鈴木酒造店長井蔵」として2012年から新天地での酒造りを再開しました。
今回いただくのは、その長井蔵で醸された夏限定の純米吟醸酒「磐城 壽 夏吟」です。
山形長井と福島浪江の絆を結ぶ夏酒。ラベル裏には、蔵元からこんなメッセージが刻まれていました。
アルコール13度台で仕上げた純米吟醸です。軽やかでやさしい甘みが特長の飲み易い酒です。冷蔵庫でキンキンに冷やし飲んで頂くことをイメージした真夏の酒です。「いぎなり、ひゃっこくして飲んでくんちぇ」。
(ラベル裏より)

■飲み口は
それでは早速、鈴木酒造店長井蔵が醸す復興の夏酒、「磐城 壽 夏吟」純米吟醸をいただきましょう。
紺と白を基調にした爽やかなラベルを眺めていたら、「磐城 壽 夏吟」をトクトク杯に注ぎます。
ひと口含むと、涼しげなデザインそのまま、爽やかで軽やかな味わいが口のなかをヒューっと駆け抜けていきました。


スッキリとした酸味が舌から喉までを潤しながらクールダウン…。夏にぴったりの飲み口です。
これはキンキンに冷やして飲むのがおすすめ。アルコール度数も13度と低めだから、軽快な飲み口に杯が進んでいきます。
後味にはほのかな米の旨みが残ります。やさしい甘みは山形長井の水と大地が育んだものかもしれません。
夏酒として爽やかな酸味を前面に出しながらも、やわらかな甘みが余韻として残る…。これが、この酒の最大の魅力なのでしょう。


これはどんな料理にも合う酒質です。夏の暑さで食が細るこの時期、食中酒としてこの酒を傾けるのもいいかもしれません。
これは全く飽きの来ない飲み口。どんな料理にも合う酒質です。実際にこの日は、酒の肴に白魚をあてましたが、これが最高…。どんどん杯が進みました。
なお震災から10年のときを経て、鈴木酒造店は念願の福島浪江に帰還が叶い、当地で酒造りを再開しています。
それでも今なお、山形長井蔵での酒造りは変わらず続いてています。それは、一番苦しい時期に支えてくれた山形長井の地への感謝の思いのあらわれなのかもしれません…。
今日の夢中は、「磐城 壽 夏吟」純米吟醸!2つの土地を結ぶ絆…爽やかに喉を潤す夏酒でした。
ありがとう、鈴木酒造店! ありがとう、「磐城 壽 夏吟」!
■基本情報
名称:磐城 壽 純米吟醸 夏吟
原材料名:米(国産)、米麹(国産米) 酒造好適米100%使用
精米歩合:真吟55%
アルコール分:13度
製造者:株式会社鈴木酒造店長井蔵
山形県長井市四ツ谷1₋2₋21